住居を借りる時と一緒で、賃貸オフィスや事務所を借りる時には、礼金や仲介手数料などと一緒に敷金や保証金を払います。
今回は店舗やオフィス、事務所を借りる時に大きい費用である「敷金」と「保証金」についてわかりやすく解説していきます。
●敷金とは
敷金は、賃貸オフィスや店舗を借りる際に支払われる金額で、入居者の賃借権を保護するための保証金です。
敷金は通常、数ヶ月分の賃料の額が要求されます。具体的な金額は契約条件や物件の所有者によって異なりますが、一般的には賃料の1〜3ヶ月分が敷金として求められることが多いです。
敷金は、契約期間中に発生する滞納や物件の損傷などのリスクに対して、貸主が保証を受けるための措置です。もしも入居者が家賃の滞納や修繕費用の不足、契約違反などを起こした場合、敷金はこれらの債務の弁済に充てられます。
ただし、敷金は完全な保証金ではなく、入居者の行動や契約条件によって一部または全額が返還されることがあります。入居期間中に支払い義務を遵守し、物件を適切に使用し、退去時には物件を原状回復する場合、敷金の一部または全額が返還されることが一般的です。
●保証金とは
保証金は、賃貸オフィスや店舗を借りる際に支払われる金額です。敷金とは異なり、保証金は物件の利用に伴う特別なリスクや損害に対して貸主が保証を受けるための措置となります。
具体的には、保証金は建物や設備の修繕や改修、災害による損害などの費用をカバーするために設定されます。賃貸物件の利用中に生じたこれらの費用は、保証金から補填されることになります。
保証金の金額は通常、月額賃料の1〜2ヶ月分となりますが、契約条件や物件の所有者によって異なる場合もあります。契約前には必ず確認しておくことが重要です。
なお、保証金も敷金同様、入居者の行動や契約条件によって一部または全額が返還されることがあります。
入居者が物件を適切に使用し、契約違反を起こさず、退去時には物件を原状回復する場合、保証金の一部または全額が入居者に返還されることが一般的です。
●敷金と保証金の違い
敷金と保証金は、賃貸オフィスや店舗を借りる際に支払われる金額ですが、その目的や扱いには違いがあります。
敷金は、入居者の賃借権を保護するための保証金であり、滞納や損傷などのリスクに対して貸主が保証を受けるために設定されます。
敷金は通常、数ヶ月分の賃料が要求され、入居者の行動や契約条件によって一部または全額が返還されることがあります。
物件の状態を確認し、一定の期間を経て返還されますが、損傷や契約違反があった場合には一部または全額が差し押さえられる可能性もあります。
一方、保証金は物件の利用に伴う特別なリスクや損害に対して貸主が保証を受けるための措置です。
建物や設備の修繕や改修、災害による損害などの費用をカバーするために設定されます。保証金の金額は通常、月額賃料の1〜2ヶ月分です。
入居者の行動や契約条件によって一部または全額が返還されることがありますが、物件の状態を確認し、一定の期間を経て返還されます。
ただし、物件の損傷や契約違反があった場合には一部または全額が差し押さえられる可能性もあります。
つまり、敷金は入居者の滞納や損傷に対する保証金であり、保証金は物件の特別なリスクや損害に対する保証金です。
それぞれの金額や返還条件は契約書や地域の法律に基づいて取り決められますので、契約前によく確認しておくことが重要です。
●「敷金」と「保証金」の相場はどれぐらい?消費税は?
賃貸オフィスを借りる際には、一般的に「敷金」と「保証金」の支払いが求められます。
これらはオフィスを借りる際の保証金として用意されるものであり、契約終了時やトラブル発生時に備えるための制度です。
それでは気になる相場と消費税について解説いたします。
●敷金・保証金の相場
敷金は、借り手がオフィスを使用する期間中、契約条件を守り退去時に物件を元の状態に戻すための保証金です。
敷金の相場は、通常で家賃の1〜3ヶ月分程度が一般的ですが、地域や物件の需要と供給によって異なることがあります。都心部や人気のあるエリアでは相場が高くなる傾向があります。
一方、保証金は、敷金の代わりに保証会社に支払う保証料です。
これにより、敷金を用意せずに契約を進めることができます。
保証金の相場は、敷金の相場と比べて一般的にはやや高めであり、通常で家賃の1.5〜2ヶ月分程度が一般的です。
ただし、保証金を利用する場合、保証会社によって手数料や審査条件が異なるため、契約前に確認することが重要です。
●消費税はかかってくる?
敷金や保証金は貸主が借主から預かっているお金という位置づけから消費税はかかりません。
しかし、なんらかの契約や原因で返還をしない場合は建物を賃貸したことによる対価とみなされるため、課税対象となる場合があります。
●賃貸オフィスや店舗が住宅よりも高い理由
賃貸オフィスや店舗が住宅よりも高い理由はいくつかあります。
まず、オフィスや店舗は住宅と異なり、商業用途に特化した設備や仕様が求められるためです。
商業施設やオフィスビルは、通常、駅や商業地域に立地しており、交通アクセスの良さや集客力を持っているため需要が高く、そのため家賃も高くなる傾向があります。
また、商業用途の場合、営業時間が長くなることや、利用者が多く集まることが考慮されます。
そのため、建物の耐久性やセキュリティの面での要件も高くなり、それに応じた投資や維持費が必要になります。
これらの要素が、賃貸オフィスや店舗の家賃が高くなる理由として挙げられます。
●敷金や保証金は本当に戻ってくる?返金されるときと返金されないときの違い
敷金と保証金は、賃貸オフィスを借りる際に支払う保証金の一種です。しかし、返金されるかどうかは契約内容と物件の状態によって異なります。
まず、敷金は原則として返金されるものです。
敷金は入居者が借りたオフィスを退去する際に、家賃や修繕費などの未払いがなければ、一部または全額が返金されます。
ただし、退去時に通常の使用や劣化による傷や汚れがある場合、清掃や修繕費として一部が差し引かれることがあります。
一方、保証金は敷金とは異なり、基本的には返金されません。
保証金は、入居者が物件に損害を与えた場合の修繕費や損害賠償費用をカバーするために支払われます。
退去時に物件の状態が良好であれば、保証金は返金される可能性がありますが、通常は返金されないことが多いです。
返金されるかどうかは、契約書や借主の責任範囲によっても異なります。
契約書には、敷金や保証金の返金条件や差し引かれるべき費用について明記されていますので、契約時にしっかりと確認することが重要です。
敷金や保証金は、物件の状態を良好に保ち、トラブルを避けるためにも注意が必要です。
定期的なメンテナンスや修繕を行い、入居時と退去時の状態を比較することで、返金される金額や差し引かれる費用を予測することができます。
●「償却」「敷引き」も契約時に確認をしないと後でトラブルに?
賃貸オフィスを借りる際には、敷金や保証金以外にも「償却」と「敷引き」についても注意が必要です。これらのポイントを契約時に確認しないと、後でトラブルになる可能性があります。
まず、「償却」についてです。償却とは、入居者が賃貸オフィスを使用する期間に応じて、物件の耐用年数に基づいて支払う費用のことです。例えば、新築物件を借りた場合、一定期間経過後に設備や構造の劣化が生じるため、入居者はその償却費用を負担することがあります。契約時に償却の有無や負担金額を確認し、将来的な経済的負担を予測することが重要です。
次に、「敷引き」です。敷引きとは、退去時に敷金から家賃や修繕費用を差し引いて返金されることを指します。敷引きの費用は、退去時のオフィスの状態や契約内容に基づいて決定されます。入居時に契約書や退去時の条件について確認し、敷引きの基準を把握しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
契約時に敷金や保証金だけでなく、償却や敷引きについても注意深く確認することは重要です。これらの費用や条件を明確にし、契約内容を遵守することで、円満な入居・退去を実現することができます。
●賃貸オフィスの契約で敷金・保証金以外に必要な初期費用と相場7つ
敷金・保証金以外にも様々な初期費用が発生いたします。代表的なものについてみていきましょう。
1.礼金
賃貸契約を結ぶ際に、オフィスを提供する不動産会社に支払われる金額です。
相場としては、賃料の1ヶ月分から3ヶ月分程度が一般的です。
2.前家賃
賃貸契約を結ぶ前に支払われる家賃のことです。
通常、賃貸契約の開始時に、最初の月の家賃として支払われます。相場は、通常の家賃と同じくらいです。
3.火災保険
オフィスを借りる際に必要な保険です。
相場としては、年間で1万円から3万円程度が一般的ですが、保険内容やオフィスの規模によって異なります。
4.保証委託
テナントが賃貸契約を結ぶ際に家賃の保証人を立てることです。相場としては、家賃の数ヶ月分が一般的です。例えば、2ヶ月分や3ヶ月分がよく見られます。
5.仲介手数料
不動産会社がテナントとオフィスの契約を仲介する際に支払われる手数料です。
相場としては、契約総額の数ヶ月分の家賃に相当します。例えば、契約総額の1ヶ月分や2ヶ月分が一般的です。
6.内装工事
テナントが入居する際に必要な改修やカスタマイズ作業です。
相場は、オフィスの規模や工事内容によって異なりますが、数十万円から数百万円以上がかかることがあります。
7.引っ越し
テナントが新たなオフィスに移転する際に発生する引っ越し費用です。
相場は、引っ越し業者や距離などによって異なりますが、数万円から数十万円程度が一般的です。
●まとめ
賃貸オフィスを借りる時の「敷金」と「補償金」の違い」について解説いたしました。
敷金と補償金は似たように感じますが、本質は違います。契約時にはしっかりと契約内容を確認しトラブルにならないようにしましょう。