事業用賃貸の「普通借家契約」と「定期借家契約」の違いとは?
店舗や事務所を借りるとき、賃料や立地ばかりに目が向きがちですが、実はそれと同じくらい大切なのが
事業用賃貸では主に「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。
私自身、不動産業界で仕事をしている中で、お客様やビルのオーナー様から「契約内容をよく確認せずに契約してしまい、後から困った」という相談をよくうけます。
そこで今回は、普通借家契約と定期借家契約の違いについて、できるだけ分かりやすく解説していきます。
まず結論。大きな違いは「更新できるかどうか」
普通借家契約と定期借家契約の違いを一言で表すなら、
「契約期間が終わった後も借り続けられる可能性があるかどうか」
普通借家契約は、契約期間が満了しても更新して継続利用することが前提になっています。
一方、定期借家契約は契約期間が終了すると契約も終了します。更新という考え方はなく、
引き続き利用したい場合は貸主との合意のうえで「再契約」を行うことになります。
この違いは、事業を行う上で非常に大きなポイントになります。
普通借家契約とは?
一般的な賃貸マンションやアパートでもよく利用されている契約形態です。
借地借家法によって借主が保護されているため、貸主側の都合だけで簡単に契約を終了させることはできません。
例えば、3年間の契約を結んだ場合、期間満了後に借主が更新を希望すれば、原則として契約は継続されます。
貸主が更新を拒否するためには、「正当事由」が必要になります。
つまり借主にとっては、長期間その場所で営業を続けやすい契約で基本退去はないかと思います。
普通借家契約が向いている業種
普通借家契約は、長期的な営業を前提とする事業に向いています。
例えば、
飲食店
美容室
整骨院
学習塾
クリニック
地域密着型サービス業
などです。
これらの業種は、地域のお客様との信頼関係や認知度を積み上げることが重要です。
せっかく常連客が増えてきたタイミングで移転となれば、大きな損失につながる可能性があります。
そのため、長く営業できる普通借家契約を希望する事業者が多い傾向にあります。
定期借家契約とは?
定期借家契約は、契約期間が満了した時点で終了する契約です。
例えば契約期間が5年であれば、5年後には契約が終了します。
貸主が「更新しません」と言う必要もありません。
最初から「5年で終了する契約」として締結されているからです。
もちろん、貸主と借主の双方が合意すれば再契約できる場合もあります。
しかし、再契約が保証されているわけではありませんし、経済状況にもよりますが賃料が上がるケースがあります。
なぜ定期借家契約の物件があるの?や借主が不利な契約というイメージがありますが、定期借家の物件の理由は
例えば、
将来的に建物を建て替える予定がある
数年後に自社で使用する予定がある
相続対策として一時的に貸したい
再開発計画がある
などです。
その際に普通借家契約で退去を依頼しましたら貸主は莫大な費用を借主に支払わないといけなくなってしまうため
定期借家契約の意外なメリット
定期借家契約と聞くとデメリットばかりに感じるかもしれません。
しかし、借主側にもメリットがあります。
代表的なのが賃料です。
貸主にとってリスクが少ないため、周辺相場より賃料が低く設定されていることがあります。
また、人気エリアや駅前立地など、本来は空きが出にくい物件が定期借家契約で募集されるケースもあります。
契約前に必ず確認したいポイント
実際に契約する際は、次の点を確認しておくことをおすすめします。
① 更新か再契約か
普通借家契約なのか、定期借家契約なのかを必ず確認しましょう。
意外と「更新できると思っていたら定期借家だった」というケースがあります。
② 再契約の実績
定期借家契約の場合、過去の入居者が再契約しているか確認してみるのも一つの方法です。
もちろん保証はありませんが、貸主の考え方を知る参考になります。
③ 中途解約の条件
事業が想定通りに進まないこともあります。
中途解約が可能なのか、違約金は発生するのかを事前に把握しておきましょう。
④ 原状回復の範囲
事業用物件は居住用より原状回復の負担が大きくなることがあります。
特に飲食店は注意が必要です。
まとめ
事業用賃貸の普通借家契約と定期借家契約の違いは、シンプルに言えば「契約終了後も借り続けられるかどうか」です。
長く営業したい店舗や事務所であれば普通借家契約が安心です。一方で、期間限定の出店やコスト重視で物件を探している場合は定期借家契約も有力な選択肢になります。
物件探しでは家賃や立地だけに目が行きがちですが、契約内容によって将来の事業運営は大きく変わります。
契約書にサインする前に、「この場所で何年事業を続けたいのか」を考えながら、自分の事業計画に合った契約形態を選ぶことが大切です。
良い物件を見つけることも重要ですが、長く安心して事業を続けられる契約を結ぶことも、それと同じくらい重要だと言えるでしょう。
